時の流れに身をさらされたなら

山本 隆信

子どもの頃、川遊びをしていて
足元の川面をずっと見ていたら
自分が後退していくように感じた。
とても不思議だった。

目を前に転じると
川は滔々と流れつづけている。
自分はしっかり川床に立っていて
ちょっとホッとした。

視線を遠くに向けてみる。
ただそれだけで錯覚に気づく。
そんなこともあるかもしれない。